「世界の全情報処理能力」は「ヒトの脳」に匹敵

世界は、どのくらいの量の情報を送受信し、処理し、保存しているのだろうか。新聞から携帯電話まで、情報を扱う60種類のアナログおよびデジタル技術について、1986〜2007年までの20年余りにわたるトレンドの推移を[南カリフォルニア大学の]研究者らが追跡した。

「2007年時点で、人類が各種のコンピューターを用いて実行できる命令の総数は、1秒間に6.4×1018回と推定される。これは、人間の脳が1秒間に発生させられる神経インパルスの最大数とおおよそ同程度だ」と研究論文には記されている。

情報の保存

研究者らは、情報保存の媒体について、紙やフィルム、ビニール製レコードといったものなどを含めて徹底的に調査した。媒体相互の比較をするには、クロード・シャノン情報理論を利用し、「最適に圧縮されたビット」で測定した。(もちろん、推定も大きい。例えば「6平方センチの新聞は1000ワード」等)

2000年には、全情報の70%がアナログビデオの形式で記録されていた(CDとデジタルテープが新たな媒体として台頭し始めていた)。しかし 2007年になると、アナログ媒体はわずか6%まで落ち込み、ハードディスクやBlu-ray、DVD、デジタルテープといったデジタル媒体がそれに取って代わった[94%がデジタル化されている。なお、デジタルとアナログの転換点は2002年]。

またこの間、情報の総記録量は年間に約23%ずつ増加していき、2007年には2.9×1020バイト、すなわち約300エクサバイトに達した。これは、地球の全人口にCDが1人61枚ずつ行き渡る量に等しい。

[人類が記録している情報の総量は、1人の人間の全DNAに収められた情報量の300分の1程度という]

上記のようなデジタルへの移行は、放送メディアと双方向通信の分野にも起こった。

放送メディアと双方向通信

放送メディアと双方向通信に関しては、「1秒あたりのビット数」でデータが分析された。

放送メディアでは、1986年には全情報の80%が地上波テレビによって占められていた(アナログ・ケーブルTVも一定のシェアを占めていた)。2007年には、地上波テレビの情報量は50%になり、放送される情報のうち4分の1はなんらかのデジタル形態になっている。

双方向通信に関しては、1986年には全情報の80%がアナログ電話によってやり取りされており、残る20%がデジタル電話、それ以外はすべて誤差の範囲内だった。しかし2000年には、アナログ電話は全世界の双方向通信のわずか2%にまで落ち込んだ。

デジタル電話は、ピーク時の1993年には双方向通信の67%にまで達した(同年、固定インターネット接続は全体の1%の使用率だった)。固定インターネット接続は2000年には50%に拡大し、2007年時点では97%を占めた。それ以外はすべて1%にも満たなかった。

双方向通信の2007年時点での情報処理量は65エクサバイトだったが、放送メディアはそれを上回り、実に2ゼタバイトもの情報を送信していた。

ただし、放送が送信する情報量は直線的に増加しているが、双方向通信は、インターネットの誕生によって爆発的な伸びを示し、伝送されるバイト数はわずか7年で29倍に増加している。

計算能力

計算能力はMIPS(100万命令毎秒:million instructions per second)に変換され、プロセッサーの総数やクラスから推定された。[1986年から2007年までの間に、1年当たり58%ずつ全世界のコンピューターの計算総容量は増え続けたとされる]

1986年には、全計算能力の約40%を電卓が占めており、パソコンの33%、サーバーの17%を上回っていた。しかしその当時から、ゲーム機は9%もの比率を占めていた。

2000年になると電卓は姿を消し、パソコンが86%でピークを迎え、そして携帯電話およびPDAが3%で初めてランク入りした。2007年には、携帯電話は全世界の計算能力の6%を占めるようになったが、さらに目覚しい躍進を遂げたのはゲーム機で、全計算能力の約25%を占めるまでになった。一方、パソコンの比率は全体の3分の2に低下した。また、スパコンの比率は大きな数値ではないという。
気になるニュースや話題 ソース元:WIRED NEWS
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