「Apple1984」を攻撃、スーパーボウル広告


2月6日(米国時間)の第45回スーパーボウルの第2クオーターにおいて、米Motorola社は発売が迫るタブレット『Xoom』のコマーシャルを放映し、米Apple社に一撃を与えた。

ニューヨークの広告代理店Anomaly社が制作したこのコマーシャルでは、だぶついた白のスエットスーツ(Apple Storeで持ち帰りに渡されるショッピングバッグを思わせる)に、『iPod』の白いイヤホンというまったく同じ格好をした人込みの中に、こざっぱりしたグレーのカーディガンと黒のジーンズを身につけた孤独な男性が登場する。

浮かない様子のこの男性は、もちろん個性的にXoomを使っている。頭を使わない単調な作業に従事するほかの人々は、地下鉄の通勤中も虚空を見つめている。

主人公が電車を待つ間にXoomで読む本は、ジョージ・オーウェルの『1984年』だ。ある年齢より上の人は、『1984年』を題材にした Apple社のスーパーボウル・コマーシャルを思い出すだろう。1984年の第18回スーパーボウルの第3クオーターで放映された、[『エイリアン』等で有名な]リドリー・スコット監督によるこのコマーシャル(文末に掲載)では、同じように、頭を使わない単調な作業に従事するたくさんの人々が虚空を見つめていた。そしてこのコマーシャルの2日後、Steve Jobs氏は年次株主総会で『Macintosh』を世界に紹介した。

このCMにおける「独裁体制」は米IBM社を指していた。取締役会は尻込みし、スーパーボウルでの放映を取りやめるよう命じたが、Steve Jobs氏とJohn Sculley氏がこのCMを非常に気に入っていたほか、Steve Wozniak氏が個人的に放映の資金を出すと言い、放映が決まった。『Advertising Age』誌で『10年で最高のコマーシャル』に選定され、さまざまなパロディ作品も生んでいる(日本語版記事)]

Xoomのコマーシャルは、魅力的な女性にXoom画面上の花束を送るという可愛らしい雰囲気で終わるが、このコマーシャルは、タブレット市場の75%を押さえ、紛れもなく「ビッグブラザー」的な地位にあるApple社に対する、Motorola社の周到なジャブであることは間違いない。

Xoomは、米Google社のモバイル向けOS『Android』の最新版をいち早く搭載するMotorola社のフラッグシップ機だ。『Android 3.0』(開発コード名『Honeycomb』)は、1月のCESで、Xoomを使って初めてのデモが行なわれた。

Motorola社は、すでに登場している韓国Samsung社の『Galaxy Tab』や、まもなく登場する加Research in Motion(RIM)社の『BlackBerry Playbook』など、2011年のタブレット新製品の中で、Xoomがベストな製品になると期待している。

第45回スーパーボウルのコマーシャル料は、オンエアー30秒あたり約300万ドルだとされている。Motorola社は、60秒のコマーシャルに少なくとも500万ドルを支払ったはずだ。

[以下はApple社の「1984年」広告]



[日本語版:ガリレオ-緒方 亮/合原弘子]

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