砂嵐に苦情 地デジ多難 放送の3局に電話63件


 「何で映らない?」「チューナーって何?」。地上デジタル放送完全移行まで半年を切り29日、琉球放送沖縄テレビ琉球朝日放送の地元民放3局は、全国でも最長となる55分間の特別番組をアナログのみで同時放送した。放送局へは「砂嵐」映像への苦情や、問い合わせが計63件あった。非課税世帯へのテレビなどの購入費を補助する県の窓口にも、問い合わせがこの日だけで266件。周知に課題が大きいことがあらためて浮き彫りになった。(知念清張、與那覇里子)

 那覇市内の市営住宅の一室。いつものようにテレビの前にいた一人暮らしの74歳の女性は、しばらくして画面が電波を止めた時と同じ「砂嵐」の状態になったのに驚いた。「ザーザーしてるけど…。何も映らない。テレビはもう寿命かね」

 少し耳が遠いこともあり、地デジ化を呼び掛けるアナウンサーの言葉は届かず、補助制度も理解していないようだ。「7月からテレビが見られなくなるって聞いたけど、お金がないから買えない。外に出るために、天気予報はチェックしているけど」と、寂しそうにつぶやいた。

 同時刻に那覇市内の高齢者施設で、三線の練習を楽しんでいた一人暮らしの79歳の女性は「テレビを買ってまだ5、6年なのに買い替えはもったいない」と慌てる様子はなかった。

 番組は「砂嵐」を5分づつ6回挟み、スタジオでアナウンサーや関係者が、補助制度やアンテナ、従来のアナログテレビに設置してデジタル放送が見られる受信機(チューナー)などについて説明し、早期の地デジ化を呼び掛けた。

 266件の電話があった「県地デ〜ジ支援し隊」には基本的な技術への問い合わせなどが約170件、最大1万2千円の補助の対象となる非課税世帯の人から46件の相談があった。エコポイント縮小もあり「最近はテレビ購入よりチューナーの申請が増えている」という。放送局への電話は、通常番組が見られないことへの苦情と問い合わせが半々だったという。

 琉球放送の担当者は「やや刺激的だったが、アナログ放送終了を当事者に知らせるには一定の効果があった」とした上で「2月からラジオの民謡番組で地デジ化の呼び掛けなど高齢者への周知を一層図っていきたい」と話した。

 沖縄は昨年9月末時点で、地デジ対応のテレビやチューナーを持っている世帯普及率が78・9%と全国最低にとどまっている。
気になるニュースや話題 ソース元:沖縄タイムス
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