死んだ仲間を運ぶイルカ、鹿児島湾で撮影

 鹿児島市の「いおワールドかごしま水族館」は18日、鹿児島湾でミナミハンドウイルカが仲間の死骸を運ぶ様子の撮影に成功したと発表した。

 同水族館によると、鯨類を含め哺乳類の多くで、母親が死んだ子を運ぶ例は確認されているが、今回のように体長2メートルを超える成体のケースは珍しいという。


 撮影に成功したのは、昨年10月15日午後。鹿児島市吉野町の東約100メートルの海上で、ミナミハンドウイルカの死骸を、口の先やひれを使って運びながら北上する仲間のイルカを水族館職員が発見した。

 観測船で近づくと、死骸の上に体を乗り上げ、海中に沈めるような行動も見せたという。死骸は2日後、同市・桜島の海岸で発見され、体長2メートル42のメスと分かった。

 チンパンジーやハンドウイルカなど哺乳類の母親が死んだ子の死骸を運ぶのは「母性行動」と考えられている。同水族館は「運んだイルカと死骸の2頭が強い血縁関係にあり、死んだことが理解できず、守ろうとした可能性もある」としている。
(2011年1月19日 読売新聞)